M&A・事業承継について ABOUT M&A
近年、日本の中小企業を取り巻く環境は急速に変化しています。少子高齢化や人口減少、グローバル化の進展など、企業経営の難易度は年々高まっています。こうした中、M&A(企業の合併・買収)や事業承継は、地域経済の持続的成長や中小企業の存続を支える重要な手段として注目を集めています。M&A・事業承継の動きや課題、そして未来に向けた展望について、最新の状況を踏まえて詳しくご紹介します。
M&A・事業承継の現状について
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中小企業・小規模事業者の経営者の2025年における年齢
2025年には、平均的な引退年齢である70歳を超える中小企業や小規模事業者の経営者数が約245万人に達します。しかしそのうち、全体の約半数にあたる127万人、すなわち日本国内企業の3分の1が、いまだに次世代の経営者を決められていない状況です。そうなると今後益々、地方が過疎化し、地域経済が立ち行かなくなってしまいます。
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中小企業・小規模事業者の黒字廃業数
約127万人の経営者が後任未定のままであり、その中でも半数以上が、企業が利益を出しているにもかかわらず廃業「黒字廃業」となるリスクを抱えています。
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中小企業・小規模事業者の雇用者数
このまま課題を放置すれば、中小企業・小規模事業者の廃業が急増し、2025年までに累積でおよそ650万人分の雇用が消失し、国内生産高は22兆円規模で減少しかねません。
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事業承継支援センターの相談件数と成約件数(第三者承継)
2024年度の事業承継支援センターに寄せられた相談件数は16,045件に上る一方、実際に成約に至ったのは2,132件と、全体のわずか約13%にとどまっています。このことから、相談件数が増加しているものの、実際に成約まで進むのは限られた割合であり、M&Aや事業承継が依然として高いハードルを伴う取引であることがうかがえます。
M&A・事業承継の課題について
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01情報格差・認識の不足
中小企業では、M&Aや事業承継に関する情報やノウハウが十分に共有されていません。経営者自身が「うちの会社が譲渡できるはずがない」「希望価格では売れない」「外部に知られたくない」といった先入観や不安を持つケースが多く、相談自体が思い切れないケースも散見されます。
- 課題の詳細
- 企業価値や業界相場、売却プロセスについての知識不足。
- 相談先が分からない、信頼できるアドバイザーの見極めが難しい。
- M&A成立までの流れや契約内容に対する理解不足。

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02価格・条件面での
ミスマッチ譲渡企業と買収企業で希望する価格や譲渡条件が大きく乖離することも多く、商談がまとまらず破談に至ることも少なくありません。特に中小企業M&Aでは、感情や歴史、従業員・取引先関係も重視されるため、単なる金額だけでなく「承継後のビジョン」や「シナジー創出」なども調整が難しいポイントです。
- 課題の詳細
- 希望譲渡価格と買い手の査定価格のギャップ。
- 経営者引退後の役割や従業員処遇、企業文化の引継ぎ。
- 秘密保持や非公開性の担保。

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03社内・外部関係者への
説明と調整M&Aや事業承継は、経営者や株主だけでなく、従業員、取引先、金融機関など複数の利害関係者が関わります。特に、従業員の雇用継続や会社の将来性などに対する不安をどう払拭するかが大きな課題の一つです。また、情報漏洩への懸念もあり、慎重さが求められます。
- 課題の詳細
- 従業員や幹部への説明タイミングや方法に苦慮。
- 取引先や銀行への説明・信用維持。
- 情報漏洩や風評リスクのコントロール。

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04専門ノウハウ・
人的リソース不足多くの中小企業は、自社内にM&Aや事業承継をスムーズに進めるための専門人材がいません。そのため、アドバイザーや外部パートナーと連携しながら進めざるを得ませんが、その選定・活用が難しいのも現状です。
- 課題の詳細
- M&Aのプロジェクトマネジメント能力が社内にない。
- 外部専門家との連携方法が分からない。
- 税制優遇や補助金などの制度知識の不足。

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05心理的抵抗感と
文化的ハードル日本では、企業売却や他社との統合に対しネガティブな印象を持つ経営者も未だ多く、「会社を売るのは後ろめたい」「長年築いたものを手放すことへの葛藤」など心理的な障壁が大きいのが特徴です。
- 課題の詳細
- 承継=敗北、家督放棄といった固定観念。
- 社員や家族、地域への「申し訳なさ」や「恥」の感情。
- 身内や同業者への説明責任。

M&A・事業承継の課題に対する解決策
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01早期M&A・事業承継
計画の策定事業承継やM&Aは、時間を要するプロセスです。経営者は早期から「承継」を意識し計画を立てることが重要です。たとえば、日頃から後継者候補の発掘・育成を進め、業務の見える化や仕組み化、権限移譲を段階的に行うことで、円滑なバトンタッチが可能になります。

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02専門家ネットワークの
活用M&Aコンサルティング会社、税理士・公認会計士、弁護士ら専門家のネットワークを積極的に活用し、複数の専門家によるチーム体制で事業承継プロセスをサポートします。情報収集・価値算定・相手先探索・契約交渉など、それぞれの分野の知見を組み合わせることでリスクの最小化を図ります。

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03事業価値の明確化・
情報開示体制の整備スムーズな承継・M&A実現のためには、会社の持つ強み・課題・成長余地を精緻に可視化し、買い手候補へ適切にアピールすることが不可欠です。ドキュメントの整備や財務データの透明性強化、将来性を語れる中期経営計画の策定などが必要です。

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04社内関係者への
丁寧な説明と巻き込み事業承継やM&Aは経営者だけの問題ではありません。早い段階から信頼できる幹部や社員を巻き込み、「なぜ承継が必要か」「承継後どのようなメリットがあるか」を丁寧に説明し、不安や抵抗感を払拭する工夫が重要です。

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05心理的障壁の克服と勉強会などへの参加
M&Aや事業承継に「ネガティブな印象」を持ちやすい土壌を改善するためには、承継の重要性やそこに至る健全なプロセスの情報発信も大切です。また、中小企業支援行政や金融機関などが主催するセミナーや相談会へ参加し、承継へのリテラシーを上げ、心理的なハードルを下げる取り組みも有効です。

M&A・事業承継の
未来について
人口減少社会において、
中小企業の存続と発展は地域経済の生命線です。
今後、M&Aや事業承継は会社の
「売却」や「引退」ではなく、
「新たな成長戦略」や
「地域の雇用・貢献を守るための決断」として
社会的な意義が高まっていくでしょう。
中小企業同士の連携や、
大企業・ベンチャーとの提携も増え、
更なるシナジーや新産業創出も期待されます。
これからのM&A・事業承継は、
日本経済・地域社会を支える中小企業が
持続的に成長・発展していくために
不可欠な手段です。
多くの経営者が不安を抱え、
課題も山積していますが、
適切な知識と専門家の連携、行政による支援、
そしてマインドセットの刷新により、
大きな可能性が開かれています。
経営者・後継者・支援者が一体となり、
時代に合った事業承継・M&Aの新しいモデルを創造していくことが期待されています。

